傘はあまり差したくない人

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『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』のアダム・ドライバーがとても良かった。

観てきた。

スターウォーズのカイロレンが好きなので、それだけを理由に観てきた。

 

ネタバレあり。

 

 

donquixote-movie.jp

 

なんか、映画にしようとするたびになにかしらがあってとん挫しまくって30年くらいたってようやく映画化できたみたいなちょっとしたいわくつきの作品らしい。知らん知らん。

 

多分熱狂的なファンがついている監督なんだろうな。

 

こちらとしては完全にアダム・ドライバーを観に行っている。何回もとん挫しただけあって、最初はジョニーデップが起用されていたとか、他にもユアンマクレガーなどがあがっている、Wikipediaによると。Wikipediaの熱量がすごい。

観た結果、アダムドライバーが良すぎたので、今実現してよかったなぁと勝手に思っている。

 

CM監督であるトビー(アダムドライバー)が、昔卒業制作として撮った『ドン・キホーテを殺した男』(これは本作の原題でもある)の舞台である村を再び訪れることから色々な珍事が始まる。

 

かつて彼の作品でドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャを演じた靴職人の老人が、自分のことをドン・キホーテだと思い込んでおり、またトビーを彼の忠実なる従者サンチョ・パンサだと思い込み奇妙な旅が始まる。

 

大筋は本家ドン・キホーテを沿っているらしい。ドン・キホーテと言えば風車に立ち向かうくだりと、望まない結婚をしいられる村娘を助けて恋人である青年と結婚させる下りしか知らない。

だが、それしか知らなくても、これはドン・キホーテの物語そのものに沿っているのだろうと想像はつく。

というかそうじゃなきゃ話があちこちに飛び過ぎだからだ。あまりにも奇想天外奇天烈すぎる。

 

最初はドン・キホーテと思いこむ老人に辟易しながら一緒に旅をするトビーだが、次第に老人に寄り添い、一個の人格として敬うようになる。

しかし実際は、まともだと思われていたトビーも狂気に取り込まれていたのだろう。

 

それが最終的な彼の行く末に直結するのだ。永遠に死なない遍歴の騎士たるため、彼もまたドン・キホーテに身を投じるのだ。

 

役を演じ、その役の強烈さに自己を飲み込まれて狂っていく。う~む、あり得そうな話で怖い。

ドン・キホーテそのものが狂った役なのに、そのドン・キホーテその人であると信じる。一体何重なんだ。

 

さて本作、とにかくアダムドライバーがよかった。最近めきめきと頭角を表している彼だが、実は観たことあるのはスターウォーズだけ。今回初めて見る一面が多く、とにかくスクリーンに釘付けになった。

とかく普通の人、でもどこか危うい雰囲気があり、コミカルにもふるまうトビーをこれでもかと熱演している。コミカルなアダムドライバー、めちゃくちゃいい!!

最後、自らをドン・キホーテとした狂気もすぅごかった。語彙の限界。

 

あとむっちむちの肉体が最高。スターウォーズでもお披露目されたむっちむちの肉体が今回も本当に眼福。スターウォーズではなんだかどうなのその体という意見もあったようだが、あれも一つの肉体美だろ。

シュワルツェネッガーのようなムキムキも、ひと昔前に流行った細マッチョもいいっちゃいいけど、ああいうむちむちな肉体が最高なんだよ!!!めっちゃ筋肉ついてたからな!?

 

他の役者もすばらしかった。さすが何度も挫折を繰り返した作品。役者選びにも余念がない。

個人的に大嫌いなジャッキは最初は綺麗な人に見えたが、執拗にトビーを誘惑する姿は醜くて見るに堪えなくなっていってすごかったし、ヒロインであるアンジェリカもスペイン美女っぽい感じがして好き。当然ドン・キホーテ役の人もよかった。今までイメージしていたドン・キホーテそのものだった。ジャッキの旦那であるボスもいけ好かない感じ。彼はITで一躍有名になったビル・スカルスガルドのお父さんです。一番の悪役のウォッカ王は本当に最悪でしたね!!

 

映画ドットコムの口コミを見ると、長いとか笑えなかったとかって意見もあるが、別に長さは感じなかったしふふっと笑えるところもあった。役者陣が魅せてくれたからだと思う。題材としてはたしかに長くつまらないものになりそうなのに。

 

また背景であるスペイン(スペインだよね?)の風景も素晴らしい。それを彩るスペイン音楽たるや!

 

寝るかもしれないなぁと思って観に行ったが、まさかの発掘で嬉しい限り。