いわゆる青春がなかった、なんてことはなかった。
フィクション上の輝かしい青春や、現在進行形で青春を歩んでいる人たちを見ていると、自分にはいわゆる青春はなかったように思う。と、いうのはけっこうみんな思いがちだと思う。
でも細かく思い返すとそんなことはなかった。
思い出の一つ一つが、青春といえるほどの臭さがあった。
汗水たらした部活。
部活終わりの格技場で読んだ本。
ミーティングで泣いた部長につられるみんな。
大会前のプレッシャーに押しつぶされて親の前で泣いた自分。
帰りのバスで自分なりに頑張ろうと話し合った憧れであり仲間。
金ローでSWをやった次の日に部活後にやったライトセーバーごっこ。
雪で遅れてこないバスと、帰ってこない私を心配する親。
部活後、みんなに教えてもらって初めて焼いたもんじゃ。
トロフィーをもらえたことに安堵し泣いたあのバスの中。
負ける気がしなかった3年のあの試合。
校舎裏でさぼった文化祭の練習。
美術3の自分が塗った垂れ幕の一部分をほめてくれたクラスメイト。
徒歩通学になって、よく話すようになった中学の同級生。
恋の相談メールを受けながら夢中になったドラクエ3。
逆サイドからの恋の相談メールを受けながら夢中になったFF10。
友達になろうと明確に言ったのに、結局疎遠になった友達。
初めて親を泣かせてしまった受験期。
私だけが見ていた流れ星。