イントゥ・ザ・スカイを観た
『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』を観てきた。邦題にありがちなサブタイトル、まじでだせぇ。
原題は『The Aeronauts』。意味は「気球操縦士」。それはそれでシンプル。
ネタバレあり。
日本はタイトルである程度客を惹きつけないといけないかタイトルで色々説明するのかなと推測するんだけど、じゃあ海外はタイトルがシンプルオブシンプルでも興味を持つのだろうか。それはそれですごいな。
ざっくり適当なあらすじ
学界のはみ出し者的存在ジェームズ・グレーシャーは、天気を予測することはできると信じ気球での調査を実行する。一緒に気球に乗るのは女性気球操縦士のアリシア・レン。アリシアはかつての飛行事故により心に傷を負っていた。
時には過酷な空の旅と、調査までの紆余曲折を描いたアドベンチャームービー!
主演は『ファンタスティック・ビースト』シリーズや『博士と彼女のセオリー』のエディ・レッドメイン。
そして『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』や『博士と彼女のセオリー』のフェリシティ・ジョーンズ。
そう、『博士と彼女のセオリー』のペアが再び共演である。
余談だけど、ジェームズの親友のジョン、いいキャラしてるなぁと思ったら去年公開されたイエスタデイの主演の人だった。いいキャラしてるなぁ。
思ったよりもサバイバル映画
相変わらず何も知らないまま映画館へ。
なんとなくポスターだけ知っていたので、なんとなくファンタジックな映画だと思い込んでいた。空に憧れて気球に乗る夫婦の話かな?みたいな。
違った。
普通に実話を基にした話だし、二人は全然夫婦じゃないしそもそも恋人関係でもないし、ファンタジックどころかサヴァイヴァル映画。
海外のポスター見たら全然ファンタジックじゃなかった。そういうところやぞ、日本。
ひぇっ
と何度思ったことか。
当方、高いところが非常に苦手なため、非常にドキドキした。高度数千メートルで揉みあいすんな!高度数千メートルでロープよじ登んな!!落ちたら死ぬどころの話じゃないぞ!!
しかし空の映像は非常に美しい。穏やかな飛行のときはそれこそファンタジックな映画。
高度があがるにつれて下がっていく気温に凍える二人。それでも空ってのは美しいんだなぁ。
海や宇宙の美しさは結構映画で観てきたけど、意外と空ってのは観ていなかったなという新たな気づきがあった。
実話を基にしたフィクションである
この映画は実話を基にしている。
エディ・レッドメイン演じるジェームズ・グレーシャーは実在の人物で、イギリスの気象学者。気象研究をするために、高度な大気の温度や湿度を図るために何度も気球に乗っている。
映画中でも言われているように、気球で推定10000m以上上空までの飛行を達成している。この記録はいまだに破られていない。
そもそも気球でそんな高さまで行くのが自殺行為なんだろう。
さてこの映画、実話を基にしているというにはあまりにもめちゃくちゃなことをやってのける。
気球が高度8000mを超えたあたりからジェームズは寒さで震え酸素も欠乏する。
いや、まず機器を持ち込むために防寒具置いてくるとかアホか。この時代はまだめっちゃ高度ある所はめっちゃ寒いってことをみんな知らなかったからとは言え、アホか。
そして降下するためにアリシアが気球のバルブを開けようとするとするが、なんと凍っているというではないか!!
それを外すために気球の、あの、風船部分?を命綱をつけてよじ登るアリシア。せめて手袋をしろ!!
そしてなんとかバルブを開けると、そのまま気を失うアリシア。
正直死んだと思ったね。
そしてずり落ちるアリシア!命綱でなんとか地上までは落下しないで済むものの、人間がある程度の高さからロープを胴にくくりつけた状態で落下したらなんか体いかれたりしないもん?
でも無事目を覚ますアリシア!高度数千メートルでぶらぶらしているアリシア!ジェームズの名を呼びながら(ジェームズは気絶中)、ロープを揺らして気球に戻るアリシア!
マリオかよ。気球登るのでもう体力も使い果たして手もボロボロだろうに。
そしてジェームズを叩き起こすアリシア!起きないジェームズ!これは死んだな……と私が悲しみに暮れていると、目を覚ますジェームズ!それは別にいいけど、その後わりとすぐ元気に会話するジェームズ!なんでや!!
と、本当はまだまだあるんだけれども(上空から物落として下の人は大丈夫なのかとか、あの高さから落ちたら立ち上がれないくらい骨折れるだろとか)。
で、だ。
これに対して、実話を基にしているのにこんな荒唐無稽なことをやるのはいかがなものか!と目くじらを立ててもいいんだけど、
でもこれ、実話が基なだけでフィクションでしょ?と思えば超楽しい。
二人で地上に帰るんだ!と奮闘するアリシアかっこいい。
最近特にTwitterなんかでは現実とフィクションの区別もつかんのか!という話が盛り上がっているが、是非こういう映画を観てみてほしい。
女子高生とおじさんがどうするこうするとか、そういうのじゃなくてさ、こういうフィクションを見て、現実とどうやって区別をするかを学んでほしい。
区別がつかない人、これはノンフィクションだと思っている人が観たら、この映画はものすごくツッコミどころがあってイライラすると思うけど、区別がつけば必死に地上に帰ろうとするアドベンチャー映画として楽しめるんだけどなぁ。そもそもジェームズが実際に気球で調査していたのは50代になってからのこと。映画だとばりばり若者だけど。
「いやでもこれそうは言っても実話を基にしているんだからノンフィクションとして考えるべき!!」とやっぱり目くじらを立てる方は次の項。
アリシアはいない
ジェームズ ・グレーシャーは実在の人物だが、女性気球操縦士アリシア・レンは架空の人物。
実際はヘンリー・コックスウェルという男性がジェームズと気球調査に行っていた。コックスウェルが気球のバルブをこじあけジェームズの命を救ったのだ。
アリシアはこのコックスウェルと、女性初の気球操縦士ソフィー・ブランシャール(フランス)がモデルになっている。ブランシャールもアメリア同様、夫を亡くしている。あと気球のショーで花火を使ったりとアメリアのように派手っぽいことをしている。
実在の人物をモデルにしてるからセーフ?
いやいやいや。
ノンフィクションなんだとしたら、モデルがいるとしても架空の人物作っちゃダメでしょう!!しかも男性だったのが女性て!!
あくまでも実話を基にしたフィクションだから成立するのでしょうが!!
それにしてもなんで女性にしたのか?別にジェームズとの色恋沙汰があるわけでもないのに。女性活躍推進の時代だからですか?女性活躍推進の時代だったら本当は男性だった人を女性にしてもいいのですか?逆だったら怒るだろうに?
もしこれをノンフィクションとして作ったのだとしたらさすがに「はぁ?」ってなるけど。
でもフィクションだからいいんだよね。だって女の人が力の限り活躍する姿ってなんだかいいじゃない。
あくまでも史実が絡んでいるために批判の声が多いというのも頷けるが、それは今に始まった話ではないと思うのでできたものは純粋に楽しんだ方がいい。グレイテスト・ショーマンだって楽しかったじゃん。
これはフィクションだから!うその話もあるからね!って一々言わないといけないのは無粋だと思う。
そんなこんな経験のできた映画だった。そして後で知ったが、これアマゾンプライムで観れたんだな。知らなかった。
でも映像がきれいなので、絶対映画館で観た方がいいね!音響ふくめ!