傘はあまり差したくない人

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Netflixの『悪魔はいつもそこに』を観た。

急に映画欲が出た。

急に。

本当はマトリックスを観ようとしたが、所持しているVRが完全に電池切れで充電に時間がかかったので普通にPCで『悪魔はいつもそこに』を観た。

ネタバレあり。

 

 

『悪魔はいつもそこに』はNetflixのオリジナル映画。

Netflixのオリジナルは興味があったが今回ようやく初めて観た。

 

理由はスパイダーマンで有名なトム・ホランドが出ていたから。トムホは大好きなのだがスパイダーマンしか知らず、このままでは彼がスパイダーマンの人になってしまうと思っていたのでずっと他の作品を観たかった。数か月前に公開されたエジソンだかなんだかの映画にトムホが出ており、それを観たかったがこのご時世なので映画館に行けず……そこで出会ったのが今作だった。

 

あらすじ

戦後間もない暴力による腐敗が充満していたアメリカの片田舎。幼き頃に亡くなった父は信仰を何より大事にし、また異常な暴力性を秘めていた。そんな亡き父との思い出が内に渦巻く青年は、愛するものを守るために自らもまた暴力に巻き込まれていく。

 

 

キャストがなんとっても豪華だ。主演はトム・ホランド。また主人公の父であり、主人公の人格を形成することになった重要な人物をITのペニーワイズで一躍有名になったビル・スカルスガルドが演じている。彼は『アトミックブロンド』ではすらっとした好青年、『シンプルシモン』では障害を抱えたこれまた好青年を演じており、今回はいつもとは違う面を見ることができた。かっこいい。

また、物語上でさらなる暴力を助長させる写真家カールはジェイソン・クラーク。最近だと『ペットセメタリー』で主演を務めた。

さらに驚くべきは、正義のかけらもなさそうな保安官にアベンジャーズのバッキーでおなじみのセバスチャン・スタン、個人的に作中で一番のくそである牧師に次期バッドマンであるロバート・パティンソンがあてられている。ヒーローが多いな。ヒーローがいっぱい出ている胸糞映画である。

 

内容としては基本的に胸糞悪い映画だ。

 

主人公であるアーヴィンは、母を救うために愛犬をいけにえにささげた父を心から憎んでいる。しかし暴力では暴力でやりかえせという父からの教えに従ってしまうところにあらがえない暴力の連鎖を感じる。

共に育った義理の妹に対して、本当の妹のように愛情を注ぎ、祖母叔父妹と幸せに暮らしたかったであろうアーヴィン。父との憎い思い出のことは忘れ静かに生きていきたかったはずだ。

彼は信心深かった父を憎むあまり、祈らない人間になっていた。しかし彼の妹は信心深く、亡き母の墓参りは欠かさず祈ることも欠かさなかった。しかし彼女のその信心深さはくそ変態牧師に利用されてしまう。まじ胸糞。

その結果彼女は妊娠したうえに牧師に見放され、自殺を試みてしまう。しかし彼女は思い立つ、お腹の子を皆が疎むはずがない、生きなければと。だが無慈悲にもそのまま彼女は死んでしまう。いやつら。これまじでつらい。

重要なのは彼女は自殺であって他殺であること。彼女を殺したのは牧師だ。

妹をいじめていたやつらに暴力であらがったアーヴィンは、そのまま暴力の渦に巻き込まれて行ってしまう。

復讐のために。

 

しかし復讐のために暴力を使ったアーヴィンもまた、復讐のための暴力に襲われてしまう。暴力は連鎖していく。彼は運よく死ななかったが、彼が生きている限り彼は平穏な日々を送れないのかもしれない。

 

しかし彼は最後に夢を見る。もしかしたらこのまま家に帰って、祖母と叔父と幸せに暮らせるかもしれない……。

 

それとも、再び始まった戦争に行くことになるのだろうか。

 

アーヴィンの行く末に一抹の不安を我々も抱きながら、眠るように物語は幕を閉じる。

 

 

トムホはスパイダーマンやその際のインタビューなどで非常に活発純粋な好青年というイメージを受けるが、今回の映画ではダークで陰鬱とした役どころを見事に体現していた。

彼は役者としてこれからも注目すべき人物だと再確認できた。

 

それにしても、変態くそ牧師であるロバート・パティンソンは、ハリポタのセドリックでは儚げな美少年、この間のTENETでは頼りがいのあるかっこいい相棒を演じていて、色々と幅を見せてくれる。そんなに好みではないが見目も良いし、覚えておこう。

ちなみに次に見ようかなと思ったNetflixの『キング』にもロバート・パティンソンが出ていた。めっちゃ売れてるな。