傘はあまり差したくない人

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半年以上ぶりの映画館で『TENET』を観てきた。

3月頭に『ジュディ 虹の彼方に』を観てからというものの、ものすっごい久しぶりの映画館。

この日までに何本か観たい映画を犠牲にしたが、さすがにこれは無視できなかった。

ということで『TENET』を観てきた。

あまり内容を理解できなかったなりに、ネタバレ。

 

 

インターステラー』『インセプション』『ダークナイト』『ダンケルク』などなど数々の名作を作ってきたクリストファー・ノーラン監督の最新作。

ダークナイト』もそうだが、意外とDCコミック映画に関わっていたりする。

私が一番好きなノーラン映画は『メメント』。あれは神。

 

ノーランは難解でよくわからない作品を撮る監督というイメージが個人的に強いが、よく考えたら難しいのは『インセプション』くらいだったりする。『インターステラー』も『ダークナイト』も『ダンケルク』もわりとわかりやすい。

が、今回の『TENET』は難解中の難解だった。なにあれぇ。

 

ざっくりとした話の内容は、未来人との第三次世界大戦を防いで世界を防ごう!という話である。唐突な未来人。正直最初のオペラのシーンからずっと迷子であった。

時間逆行が物語の大きなテーマだが、エントロピーがうんたらかんたらとかわからない。落ちた銃弾が手に戻る、とか、あの辺は感覚で理解した。今回はもう肌感覚で理解するでとどめないといけない。だってわかんねーんだもん。

 

でもわからないのに面白いからすごい。画がすごく幸せだ。主人公の相棒であるニールはかっこいいし、ヒロインはめっちゃ慎重高くて美人でかわいい。あのヒロイン、すげぇぞ……。ちなみにニールは『ハリーポッターと炎のゴブレット』でセドリック・ディゴリーを演じたロバート・パティンソン。もっと透明感あふれる青年であったが、あんなに野性味が……。来年から新生バットマンを演じる。そりゃ野性味も出るか。

 

時間逆行については面白い話があった。時間を逆行させると、未来人は平気なんだけど現代を生きている我々は即刻死ぬらしい。時間が逆行してしまうということは、なんか原子とか粒子とかにも影響があるから空気が変わって窒息死してしまうんだとか。なので逆行世界に行った人はガスマスク的なのをつけているのだ。このコロナの時勢にマスク付けてるポスターはなかなかインパクトあったな。

で、時間を逆行させると要は人類とか恐らく生物も滅んでしまうんだろう(こういうのって人だけ死んで他の動物は生きているのが望ましいのでは)。で、まぁここで大好きなジョジョを思い出したんですよ。ジョジョは6部まで読んだが、3部以降のボスは基本的に時間を操るスタンド持ちなのだ。時を止める、時を遡る、時をカットする、時を加速させる。この中だと吉良吉影の時を遡るバイツァ・ダストが近いような気もするが、本質は全く違う。あれはどちらかというとバイツァ・ダストをかけられた人間だけがタイムマシンに乗るようなものだ。一定の流れで逆行しているわけではない。

6部の神父は時を加速させたことにより宇宙を一巡させ新たな世界を作った。このスタンド、はちゃめちゃにつえーーーと思っていたが、今回『TENET』を観たことにより「時を逆行させるスタンドがあれば人類を滅亡させることができるのか」と目からうろこ。「時は加速する」という名セリフが「時は逆行する」になるんだ。時が加速すると宇宙が一巡するが、時が逆行するとみんな死ぬ。まぁジョジョのボスが求めるものが人類滅亡じゃない限りあんまり意味ない能力だけど。

 

映画の後半から時間逆行世界をフルに使ったアクションが展開される。映画序盤に出会った不可解な人物が実は未来の自分だったり、自分のことを助けてくれた人物がこれから自分を助けるために過去に戻ったり。その辺の作りはすごくわかりやすくなっていた。事前に「これもしかして誰誰では?」とわからせてくれる。逆行している人と巡航している人が画面に同時にうつるという映画的演出。最高。いくらかかっているんだろう。金がかかっているものを観るのは最高だ。

 

そして、意外や意外、この作品は全編通して友情の物語であった。

しかし、友情の物語であったと分かるのは物語の最後の最後なのである。片方にとって友情の終わりであるものが、もう片方にとっては友情の始まりなのである。それはつまり終わりの始まりでもある。あの友情こそが、時間逆行のすべてだったように思える。『ターミネーター』を思い出した。でもなんか違うんだよなぁ。わからんけど。

 

二回以上観たほうが理解が深まると思うが、一回目のこの余韻を大事にしたいのでこれで終わりにしておく。

 

久しぶりの映画館だったためにもうなにもかもが最高過ぎてやっぱりもっと映画館に行きたいなぁと思った。でも観たい映画めっちゃ公開延期しているだよな、仕方ないけど。