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ポン・ジュノ監督作品『母なる証明』を観た

アマプラにあって勢いで見始めたんだけど、どう考えても勢いで見始める映画ではなかった。わかっていたのに止められなかった。こういう衝動ってのは止めるべきじゃない、いいんだ、それが最適だ。

 

『パラサイト』のポン・ジュノ監督の作品。ネタバレあり

 

 あらすじ

漢方薬店で働きながら闇で鍼をうつ母は、純粋無垢な息子の存在が何より大事だ。しかし、ある日起きた女子高生殺人事件の容疑者として息子は警察に連れていかれてしまう。母は息子の無実を信じ、本当の犯人捜しを始める。

 

 

ジャンルはサスペンス。

本当の犯人は誰なのか?というのは話の主題としては二の次で、実際は母の息子への無条件(かは、ちょっとわからないが)の愛がテーマになっている。愛ゆえに、母は息子のためにどこまで、なにまで犠牲にできるか。

 

監督のポン・ジュノは、今や映画好きなら知らない人はいないだろう。2020年アカデミー作品賞を受賞した『パラサイト』の脚本、監督を担当した人だ。

ポンジュノはもともとけっこうファンがおり、この『母なる証明』も評判がよかった。

むしろ『パラサイト』よりもいいぞ、と。

 

なんとなくのイメージとして、絶対に重たいし難解だろうし疲れそう、と思っていたが、実際観てみると意外にも話がすんなり頭に入ってくる。

『パラサイト』の時も思ったが、重たくてまじめな主題のわりにはなぜか楽に観れる。これがこの監督の特徴だろうか。わりとエンタメよりな感じ。

 

とはいえ、やはり重たい。

自閉症なのかなんなのか、少し頭の弱い息子を過保護になりながら守る母親。その母親がたどり着いた真実はあまりにも残酷だった……。

『ダンサーインザダーク』を思わせるラストだったという評価を見た。たしかに。だが、まぁ希望がまったくないわけでもないだろう。息子は帰ってきたんだし、それに、母も、忘れてしまうだろう。いや、本当は忘れていないのかもしれないが、忘れていると自分を思い込ませるのだろう。それは別に、絶望ではない、と思う。

 

かなり色々考えさせられる作品だ。正直自分ではまとめられない。

でも面白かったのはわかる。韓国は映画に力を入れているとよく聞くが、これは韓国がすごいというよりはポンジュノがすごいんだろうな。

 

次は同監督のソンガンホ主演『殺人の追憶』を観たいんだけど、アマプラにはないんだよなぁ。レンタルしちゃおっかな。